何でもレポート
電源が入らないデジカメ
会社のかわいい女性が、かわいいカメラを持ってきまし
た。
「このカメラ使えなくなったから、好きなように遊んで下さい!」
いつも、壊れた機械を楽しそうに遊んでいるのを見ているので、壊れたものがあると、大変親切に届けてくれます。どうせ壊れているので、ゴミになっても惜
しくはないし、何か間違えて動くようになれば儲けものということもありそうです。
届けられたカメラを見ると、少し、嬉しくなりました、以前旅行中に電源を入れたまま持ち歩いていて、何気なしに、コンビニのドアにカメラがコツンとあた
ると、「エエっ!」ということが起こりました。ほんとに軽く触れただけだと思えたのですが、飛び出していたレンズがポロッと抜けてしまったあのF社のカメ
ラと同じものです。
プラスチックでできた、ぐるぐると回りながら飛び出す鏡胴の小さい爪が折れてしまったようです。抜けてしまったレンズをしげしげと見ると、驚くほどちゃ
ちな感じがしてきて、よくぞこんなもので、細かい写真が取れるものだと感心しました。古いカメラはいかにも精密にできているというのが分かるのですが、デ
ジカメはこの程度のもので、どうして正確にピントが合うのか不思議になりました。よくよく考えてみると、そのいいかげんさをコンピューターが補正して、す
ごい性能を出しているのだと何となく分かったような気になりました。
嬉しくなったのは、届けられたカメラは光学系はまったく問題なさそうです。壊れたのは制御系の異常のようです。電源スイッチを押しても、ピカッと一瞬
LEDが点滅して後はだんまりしたままです。私が壊したカメラは光学系が壊れただけで、制御系は問題なく動作していました。ニコイチを試みるには理想的な
素材です。
喜んではみたものの、なかなか手を出す時間がなくしばらくそのままでしたが、ふと思い出して遊び始めました。カメラの分解では当たり前の隠しネジもな
く、予想以上に簡単に分解が進み、光学系と制御系も簡単に分離できることが確認できました。
どうせ壊れているのだから、あちこちばらばらにして中身を観察してみようと外していくと、制御系のコネクタの1つので接点が不思議なほど、異常な状態の
ものを見つけました。
コネクタは金張りが当たり前ですが、光の違うものがあるのです。どうしてこんなになったのだろうと、思いながら
ごしごしと磨いてみました。
ひょっとしてこのコネクタが、問題の原因かもしれないぞと、期待しないで元に組み立ててみることにしました。まだまだ、細かく分解していなかったので比
較的簡単に元に戻すことができました。コンパクトなデジカメだけにすんなりと収まらないところも少なくありませんが、コチョコチョと多少ゆすったり、抜き
差ししながら押し込んでいくと、するっと入っていく場合が少なくありません。いつも思うのですが、よくこんなに細かい組み合わせを設計できるものです。
電池を入れて、スイッチを入れると、なんと電源が入ったではないですか。カメラの撮影もモニターもできるのですが、何か押したスイッチと動きがかみ合わ
ない感じあります。しかし、最初に比べるとずっと進歩です。
それではと再度コネクタまで分解し、再度、丁寧に磨き組みなおしました。
今度はなかなか、快調に動き始めました。やっとニンマリです。
どうして、異常が発生したかは大きな疑問です。いくつもあるコネクタで、異常になったのは一箇所だけですから、水が入ったとか、ほこりが入ったとかは考
え難く、メーカーで組み付けるとき、コネクタにレンズ回りのグリスでも付けてしまったのかと想像する程度です。
しかし、コネクタが変色していますので、そのうち、いつ接触不良を発生するかは分からない頼りない感じは残ってしまいました。