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ＡＤＳＬ配線の通信トラブル事例

　ＡＤＳＬ回線は従来の電話線で高速のデータ伝送を行おうとするため、外来雑音の影響を受けやすく配線上以下のようなトラブル事例があります。
　もともと電話線は３ｋＨｚ程度の音声周波数を伝送するように設計されたケーブルなのでが、これに数ＭＨｚの高周波を流そうとすること自体が無理があるのは容易に理解できます。
　しかし、流せば結構うまくいくもので広く使われるようになりましたが、ちょっと油断するとトラブルが出るのが当たり前だと思います。
　巷で聞いたトラブル事例を羅列してみます。

①．ＡＤＳＬモデムをパソコンに並べて設置するとパソコン内部の信号が雑音となって影響を受ける場合があります。相互を30ｃｍ以上離して設置するのが望ましい。
　パソコンは内部で様々な高周波信号が使われていて、びっくりするほどの雑音源です。かなり出ない様に苦労して設計されてはいますが、近くではかなり強力な電波も出ていますから、高周波が流れシールドの弱いＡＤＳＬケーブルはできるだけ離して配線しましょう。

②．ＡＭラジオの電波干渉を受ける場合があり、離すか、ラジオを止めて使う。
　ＡＭラジオだけでもありませんが、電波を受信する機械からは意外な電波が出ています。

③．テレビや冷蔵庫、家庭電気製品のそばにケーブルを通さないようにする。
　電気が入ったり切れたりするときのパルス性雑音はかなり強力ですし、最近の家電製品にはインバーターで高周波を出すものが少なくありませんので要注意です。

④．他の機器の電源ケーブルと一緒に束ねない。
　上記の機器の電源ケーブルだと様々な雑音が乗り合わせています。

⑤．ＣＡＴＶ，ＢＳ／ＣＳのケーブルと一緒にしない。
　同軸ケーブルは雑音の漏れにくいケーブルですが接続点や分岐点、ブースターなど電波が漏れ出すところはたくさんあります。
　また、ＡＤＳＬの信号がＴＶに紛れ込むと映像にも影響しかねません。

⑥．モジュラージャックからモデムまでの電話線を3ｍ以下にし、出来るだけ短くする。あまったケーブルを巻きつけておくと性能低下の原因となる。
　高い周波数扱うケーブルですから短いに越したことはありません。長いとどんな雑音を受けるか分かりませんし、抵抗も大きくなり信号が弱ってしまいます。特にケーブルを巻き付けることは、コイルを作るようなものでＡＤＳＬ信号を弱らせる原因になります。

⑦．ＩＳＤＮ回線の電話線と同じルートに配線すると相互に干渉してＡＤＳＬの通信に影響を受ける。
　ＩＳＤＮも電話に比べると高周波信号が流れていますから、互いに信号を狂わせてしまいます。電話局からのケーブルでも同じような影響が出ることがあります。

⑧．屋内配線が劣化していると絶縁不良などが発生し、正常な通信が行えない場合がある。電話は通じていてもＡＤＳＬは不安定となる場合がある。
　人間は多少の雑音があっても、言い直したり、雰囲気で理解したりしますが、コンピューターは狂った信号を適当に理解することはできません。

⑨．モジュラージャックや保安器などケーブルの接続点で不完全な接続があると通信異常となる。
　モジュラージャックの接点は簡単にくっついているだけですから、汚れにも弱いですし、差し込み方でも不安定になります。また、モジュラージャックにネジ止めしたケーブルが不安定になっていることもあります。接続箇所はできるだけ少なくしたいものです。

⑩．ケーブルを途中で接続した場合、接続点で接触不良やインピーダンスのミスマッチが発生し通信が不安定になる。
　長さがたりないからと短いケーブルをつないで使うと、思わぬトラブルになります。あまりケチらないほうが快適です。

⑪．電話線にノイズフィルターやラジオフィルターなどが入っているとＡＤＳＬ信号が低減し、通信ができなくなる。
　フィルターで肝心の信号が弱ったら面白くありませんが、取ってしまうと電話ができなくなったらどうしようもありません。フィルターが無いと電話ができないような場所ではＡＤＳＬも無理な場合が殆どだと思えますが、フィルターの特性を調整することで何とかなる場合もあるようです。
　いずれにしても難しい条件です。

⑫．電話配線上にガス遠隔監視装置、スカイパーフェクトＴＶのペイパービューシステムなどの付加装置がある場合、スプリッターの後位へ接続するよう配線変更する。
　今の電話線には電話以外の機会もいろいろつながれており、全てをスプリッターの下部（電話の手前）につなぐ必要があるのですが、配線が複雑になったり、互いの装置の前後関係で機能が十分発揮できなくなることもあります。
　かなり経験的な対策が必要です。

⑬．近所に高圧送電線、ラジオ、テレビの送信所、電車の線路、電力機器を使用する工場、ビニールハウス、溶接機を使用する工場などがあると電磁波ノイズの干渉により通信ができない場合があります。
　こんな場所はあきらめて光ファイバーにするしかないかもしれません。

⑭．ＮＴＴ収容局から利用者宅まで距離がある場合、充分な性能が得られない。
　電話線の種類によっても距離は違ってきますので、距離だけで判断することはできませんが、期待しないほうがいいでしょう。

⑮．スプリッタを複数並列に接続するとナンバーディスプレイが表示しなくなったり、ＦＡＸが正常に送れなくなったりすることがある。
　スプリッターはコイルとコンデンサーで作った比較的簡単なフィルターですが、つないだケーブルや電話線の特性に左右されてしまいます。
　本来、電話やＦＡＸに伝送される信号が届かなくことも発生してしまうことがあります。
　いろいろ試すしかないかもしれません。

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